「第9回鉄道技術展 MTI Japan 2025」 JR5社参加, メッセに3.9万人!
『第9回鉄道技術展 MTIJ2025 (Mass-Trans Innovation Japan 2025)』が2025年11月26日(水)~29日(土)の4日間、幕張メッセで開催されました。今回はJR東海の初参加で本州JR3社に九州・四国も参加など、過去最多の616社・団体が出展し、来場者も過去最多の3.9万人超となりました(概要組写真:jpg,pdf)。また、休日となった最終日には、働くお父さんを観に家族も来場。欧州的な現代社会の微笑ましい光景に、鉄道技術展の持つ多面的な可能性の一面を感じ取りました。技術展に参加されました鉄道産業界関係各社と主催者に対し、これまでの発展の努力に一老鉄道技術士として感謝申し上げます。
鉄道技術展MTIJの誕生の背景と先人への感謝
第1回のMTIJ2010当時に比べ、15年間で来場者数が数倍まで増え、日本最大の鉄道技術見本市となりました。これには毎年開催の中止から隔年開催、参加企業の誘致、国際会議やセミナーの併催、トンネル・橋梁技術展の併催、地方鉄道応援プロジェクトを経て、今回は学生・就活ブースの併設等、日本的な創意工夫の積み重ねで育ってきた、と感じています。そこで世界的背景を一言。
日欧米と中等の世界主要鉄道産業界はこの半世紀、激動に晒され、失敗を学び今に至っています。例えば、GM等による米国公共交通網の破壊→ 北米の大陸間貨物鉄道シフト→ 東海道新幹線黒字と地方交通線赤字の増大→ 米英日の鉄道民活策推進→ 日本の国鉄分割民営化と地方衰退→ 日本の道路物流シフトと産業基盤衰退→ 英国の過度な民営分割分社化と鉄道産業&技術崩壊に至ります。こうした中、1992年に日本の鉄道総研が東京で第1回の世界鉄道研究会議(WCRR)開催と技術見学とUIC主要国鉄との協働策を初め、以後、数年毎に主要国で開催され続けています。WCRR2025は第14回目として米国コロラドで開催され、IHHA:国際重荷重鉄道協会会議の併催と合せ、世界29ヵ国1114名参加という、鉄道研究に関する世界最大の国際会議として今に至っています。
一方、EUでは1990年代、日本の高速鉄道の普及や英国での失政に学び、UIC等が先導し、鉄道下部再公営化と環境鉄道モーダルシフト政策→ 欧州の鉄道産業再興(ルネッサンス)→
EU内の合従連衡が進み、シーメンス(独), アルストム(仏), ボンバルディア(独/加)の世界鉄道車両産業グループのビッグ3が誕生。世界市場の寡占化へ進みました。この背景の下、1996年、鉄道技術見本市として世界最大のInnoTransがドイツで戦略的に生れ、以後、偶数年の9月にメッセ・ベルリンで開催され続けています。第14回Inno
Trans 2024の来場者数は約17万人(133ヶ国)で、出展社数が2,940社(59ヶ国)と、世界最大の鉄道国際見本市となっています。
欧州主要国の合従連衡と規格化戦略の成功、一方の国内小藩分立民営化の日本の鉄道技術産業界の状況に対し、英国並み草刈り場の懸念が流通商品の車両を扱う日本鉄道車両工業会の会員各社や鉄道総研、国交省鉄道局をはじめ、鉄道識者内で高まりました。2009年、車両工業会のS専務や産経新聞を核とした関係箇所への熱心な働きかけが実を結び、2010年に第1回の開催に至ります。私事、国交省出身で鉄道総研時の上司S氏の下、日本の対外鉄道戦略や国際会議経験を話し合った縁で、鉄道国際技術見本市関連の黒子比較得失調査(Innnotrans、TRB、WCRR、IHHA、S-tech…)を行い、提案モデルPPT資料も提出しました。この時のS氏の温和で熱い行動力と圧倒的な人材網、そして産経N氏らの事業経験と細かな作業の積み重ねこそが、鉄道技術展成功の礎にあったことを次代の若き技術者に少しでも伝えられれば幸いです。鉄道界を愛し私欲等を捨て奉仕された先人各位に改めて感謝申し上げます。
次代の鉄道技術展MTIJへの提案:ネズミからミラクルスポットへ
さて、世界の鉄道技術産業会はその後も激動が続いています。危惧された共産国家ぐるみの中国中車の誕生と不明朗工作の世界進出→ 日本の台湾/英/中/印/欧州への進出と競合拡大や、将来の新興国の鉄道産業の台頭も予想されます。既にアジア最大の鉄道技術見本市の規模は中国やインドに追い越され、韓国釜山もMTIJ大阪を越え、2027年開催予定のInnoTrans-Asia(シンガポール)での欧州のアジア進出で、欧州と中国の台頭が予想されます。個人情報有無の名刺の使い分け、格安よりも信頼、社会構成マップ上での存在実績共有など、日本にはブランド維持と革新、民主的主要国間との協働継続と節度ある競争を願っています。
そこで、地域別小藩分立の日本・下部再公営化が無い日本の鉄道産業界の鉄道技術展の持続的発展へのキーワードを再検討してみました。既にMICE:Meeting(会議・研修)、Incentive Travel(報奨旅行)、Convention(国際会議)、Exhibition(展示会)に対し、日本的改良が加えられましたが、近年、日本の中小の鉄道技術現場企業では、就職活動(Rrecruit)、企業の存在感(Presense)、進歩的(Advanced)技術のセミナー(Seminar)のニーズが、また、好機(Opportunity)提供、対・重要顧客感謝(Thanks)等のニーズもあります。次代の日本的鉄道技術展には、多様化集客の個別選定方策も要しています。そこで、もう一言。
日本の鉄道技術展目線のキーワードには、従来メッセ目線のMICE:マイス:鼠に代えてMIRACLE-SPOT:ミラクルスポット『奇跡の地点』がどうだろう。小藩分立から連通連携へ…。鉄道産業界を日夜支える現場の匠企業など多様な願いも気がかりです。◆